
訪問看護ステーションの開業を検討するなかで、フランチャイズへの加盟を選択肢に入れている方も多いのではないでしょうか。
訪問看護フランチャイズには、開業準備や採用、教育、地域連携、経営管理などについて本部の支援を受けられるメリットがあります。
一方で、加盟金やロイヤリティが発生し、経営の自由度が一部制限される点はデメリットです。また、加盟したからといって、必ず経営が成功するわけではありません。
フランチャイズに加盟するかどうかは、費用の安さだけではなく、
という視点で判断する必要があります。
この記事では、訪問看護フランチャイズのメリット・デメリット、自社開業との違い、本部を選ぶ際の確認項目を詳しく解説します。
訪問看護ステーションの実際の売上や利益を確認したい方へ
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訪問看護フランチャイズとは、フランチャイズ本部と契約を結び、ブランドや運営ノウハウ、教育、経営支援などの提供を受けながら、加盟店として訪問看護ステーションを経営する仕組みです。
加盟店は本部へ加盟金やロイヤリティなどを支払い、その対価として開業前後の支援を受けます。
一般的な支援内容には、次のようなものがあります。
ただし、どこまで支援してもらえるかはフランチャイズ本部によって異なります。
「開業までは手伝ってくれるが、開業後の経営支援はほとんどない」というケースもあるため、契約前に具体的な支援範囲を確認することが重要です。
自社開業とフランチャイズ開業の主な違いは、次のとおりです。
| 比較項目 | 自社開業 | フランチャイズ開業 |
| 開業準備 | 自社で調査・手配する | 本部の支援を受けられる |
| 事業計画 | 自社で作成する | 既存モデルを参考にできる |
| ブランド | 自社で構築する | 本部ブランドを利用できる |
| 採用・教育 | 自社で仕組みをつくる | 採用・教育支援を受けられる場合がある |
| 地域連携 | 自社で方法を確立する | 営業方法やツールの提供を受けられる場合がある |
| 開業後の相談 | 自社で専門家を探す | 本部へ相談できる |
| 費用 | 加盟金・ロイヤリティは不要 | 加盟金・ロイヤリティなどが発生する |
| 経営の自由度 | 高い | 契約やブランドルールによる制限がある |
| ノウハウ | 自社で蓄積する | 本部の事例や運営データを利用できる |
自社に医療・介護事業の経験者がおり、採用、教育、請求、地域連携などの仕組みをすでに持っている場合は、自社開業が適している可能性があります。
一方、医療業界への参入が初めてで、開業準備から開業後の経営まで支援を受けたい場合は、フランチャイズ加盟が有力な選択肢になります。
訪問看護ステーションの開業では、法人設立や物件選定、指定申請、人員確保、備品準備、各種契約など、多くの準備が必要です。
経験がない状態で進めると、何をどの順番で行えばよいのか分からず、開業が遅れる可能性があります。
フランチャイズでは、本部が開業までの工程を整理し、必要な手続きや準備について支援するため、開業に向けた全体像を把握しやすくなります。
ただし、申請や運営の最終的な責任は事業者側にあります。本部へ任せきりにせず、申請内容や運営基準を自社でも理解することが重要です。
フランチャイズ本部には、既存店舗の運営を通じて蓄積したデータや事例があります。
例えば、次のような情報です。
これらの情報を活用できれば、根拠のない売上目標ではなく、実績をもとに事業計画を立てやすくなります。
ただし、本部の実績がそのまま自社に当てはまるわけではありません。開業予定地域の人口、競合、採用条件、既存事業との相乗効果などを踏まえた個別のシミュレーションが必要です。
訪問看護経営では、看護師を採用できるかどうかが、開業時期や事業成長を大きく左右します。
採用後も、訪問看護の経験がないスタッフに対して、制度や記録、利用者対応、地域連携などを教育する必要があります。
フランチャイズ本部によっては、次のような支援を提供しています。
確認すべきなのは、単に採用方法を教えてもらえるかではなく、採用後にスタッフが定着し、成長できる仕組みまで用意されているかどうかです。
訪問看護ステーションは、開業しただけで利用者が集まる事業ではありません。
病院、クリニック、相談支援事業所、居宅介護支援事業所などへ継続的に訪問し、地域の支援者との信頼関係を構築する必要があります。
フランチャイズでは、地域連携先の整理方法、訪問時の説明内容、営業資料、紹介後の報告方法などについて支援を受けられる場合があります。
ただし、本部が利用者を自動的に連れてきてくれるわけではありません。
地域連携を実行するのは、あくまで加盟店の経営者やスタッフです。本部の役割は、何をどのように実行するかを明確にし、成果につながるまで改善を支援することです。
訪問看護経営では、開業後もさまざまな課題が発生します。
フランチャイズ本部が売上、訪問件数、人件費、利用者数などを定期的に確認していれば、問題が大きくなる前に改善策を検討できます。
本部を選ぶ際は、ミーティングの回数だけでなく、どのようなデータを確認し、どこまで具体的に改善を支援してくれるのかを確認しましょう。
フランチャイズへ加盟すると、一般的に次のような費用が発生します。
費用の名称や金額、計算方法は本部によって異なります。
重要なのは、ロイヤリティ率の低さだけで比較しないことです。
たとえロイヤリティが安くても、開業後の支援がほとんどなければ、加盟する価値は限定的です。一方、一定の費用がかかっても、採用費の削減や黒字化の早期化、経営改善につながるのであれば、費用以上の価値を得られる可能性があります。
フランチャイズでは、ブランドの統一性やサービス品質を守るため、一定のルールが設けられています。
自社独自のサービスを自由に展開したい事業者にとっては、本部のルールが制約になる可能性があります。
契約前に「何を自由に決められ、何について本部の承認が必要なのか」を確認しておきましょう。
同じ訪問看護フランチャイズでも、本部によって支援内容は大きく異なります。
名称として「経営支援」「営業支援」「採用支援」と記載されていても、実際には資料を渡すだけという可能性もあります。
次のように、具体的な支援内容まで確認することが大切です。
同じブランドを使用する以上、本部や他の加盟店で問題が発生した場合、自社の信用にも影響する可能性があります。
特に訪問看護では、不適切な請求、過剰な訪問、利用者本位ではないサービスなどが発生すると、地域の医療機関や関係者からの信頼を失います。
加盟を検討する際は、売上実績だけでなく、本部がどのような理念と倫理基準を持ち、サービス品質をどのように管理しているかも確認すべきです。
フランチャイズ契約には、契約期間、更新条件、中途解約、違約金、競業避止などに関する条件が定められている場合があります。
契約前には、少なくとも次の点を確認しましょう。
契約内容に不明点がある場合は、契約前に専門家へ確認することも大切です。
次のような事業者は、フランチャイズを活用するメリットが大きいと考えられます。
特に異業種から参入する場合は、制度や医療現場について理解しながら、経営者として事業を管理しなければなりません。
専門職へすべてを任せるのではなく、経営者自身が数字や運営状況を把握するための支援があるかどうかが重要です。
一方、次のような場合は、自社開業または別の選択肢を検討した方がよい可能性があります。
訪問看護は、利用者の生活と地域医療を支える事業です。
収益性は事業継続に必要ですが、利益だけを目的として参入すると、スタッフや地域からの信頼を得ることが難しくなります。
本部を比較する際は、加盟金やロイヤリティだけでなく、次の8項目を確認しましょう。
本部が実際に訪問看護ステーションを運営し、現場の課題を理解しているか確認します。
店舗数だけでなく、開業後の売上推移、黒字化までの期間、継続率なども確認しましょう。
理想的なシミュレーションだけでなく、実際の売上、人件費、事業費、営業利益を開示している本部の方が、現実的な判断をしやすくなります。
「伴走支援」という言葉だけで判断せず、面談頻度、確認する数値、相談方法、担当者などを確認します。
看護師を採用して終わりではなく、入社後の教育や管理者育成まで支援しているか確認します。
営業トークだけではなく、連携先の管理、訪問頻度、紹介後の報告まで整理されているかが重要です。
訪問看護では、制度や請求に関する正確な理解が必要です。専門的な相談へ対応できる体制を確認しましょう。
売上だけを優先し、不適切な請求や必要性のない訪問を促す本部は避けるべきです。
利用者本位の支援と適正な経営を両立しているかを確認してください。
可能であれば、すでに加盟しているオーナーへ次の点を確認しましょう。
本部からの説明だけでは分からない、実際の運営状況を確認できます。
個別相談や加盟説明会では、次の質問をすることをおすすめします。
質問に対して具体的な数値や事例が示されず、抽象的な回答だけが続く場合は、慎重に判断する必要があります。
Reafは、精神科に特化した訪問看護フランチャイズです。
2026年9月時点で全国23店舗まで展開しており、オーナーの約90%が医療業界以外からの参入です。
異業種から参入するオーナーでも訪問看護経営を理解し、適切な意思決定ができるよう、次のような領域を支援しています。
Reafが重視しているのは、単に店舗数や訪問件数を増やすことではありません。
利用者が地域で自分らしく生活できる支援、看護師が安心して働ける環境、事業を継続できる経営の3つを成立させることを目指しています。
実際にReafが運営した一つのステーションでは、開業5か月目に月次黒字へ転換し、1年目から年間黒字を達成しました。
ただし、同様の収益や黒字化を保証するものではありません。地域、採用条件、利用者構成、競合状況などによって結果は異なります。
加盟を検討する前に、まず実際の収支をご確認ください。
Reafが運営したステーションの売上・人件費・事業費・営業利益を、月別で5年間公開しています。
訪問看護フランチャイズには、開業準備や採用、教育、地域連携、経営管理について支援を受けられるメリットがあります。
一方で、加盟金やロイヤリティが発生し、経営の自由度が一部制限される点はデメリットです。
フランチャイズ本部を選ぶ際は、費用の安さだけで判断せず、次の点を確認しましょう。
フランチャイズへの加盟は、訪問看護経営を本部へ任せることではありません。
本部のノウハウや仕組みを活用しながら、オーナー自身が地域やスタッフと向き合い、事業を成長させていく必要があります。
まずは実際の収支実績と支援内容を確認し、自社開業とフランチャイズ開業のどちらが自社に適しているかを比較してみてください。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。フランチャイズ本部によって契約条件や支援内容は異なります。契約を検討する際は、契約書や法定開示書面などを確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。