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訪問看護ステーションは儲かる?収支モデル・損益分岐点・黒字化の条件を実績で解説
訪問看護は儲かるの?収支モデルから黒字化するためのポイントを解説のアイキャッチ

訪問看護ステーションの開業を検討する際、特に気になるのが「実際にどのくらい儲かるのか」「黒字化までにどれくらいかかるのか」という点ではないでしょうか。

結論からお伝えすると、訪問看護ステーションは、利用者数と訪問件数を安定して確保し、人件費や訪問効率を適切に管理できれば、継続的な利益を生み出せる事業です。

一方で、開業しただけで自然に利用者が集まり、利益が出るわけではありません。採用や地域連携、資金繰りの計画が不十分なまま開業すると、売上が伸びる前に資金が不足する可能性があります。

この記事では、訪問看護ステーションの売上構造や主要経費、損益分岐点の考え方を、Reafが実際に運営したステーションの5年間の収支実績を交えて解説します。

 

 

 

訪問看護ステーションは儲かる事業なのか

訪問看護ステーションは、適切な運営体制を構築できれば、利益を残せる事業です。

実際にReafが運営した精神科訪問看護ステーションでは、1年目から年間黒字を達成し、その後も利用者数の増加に伴って売上と営業利益が伸びています。

 

年度年間売上営業利益営業利益率
1年目23,060,118円1,563,232円6.8%
2年目48,251,204円7,923,082円16.4%
3年目68,343,188円11,875,431円17.4%
4年目94,067,016円22,193,999円23.6%
5年目109,440,428円25,228,699円23.1%

5年間の累計売上は約3億4,316万円、累計営業利益は約6,878万円です。

ただし、この数字はReafが運営した一つのモデルにおける実績であり、同様の収益を保証するものではありません。地域の人口、競合状況、採用条件、診療報酬・介護報酬、利用者構成、加算の算定状況などによって収支は変動します。

重要なのは、最終的な利益だけを見るのではなく、どのように利用者数を増やし、どの段階で人員を採用し、月々の固定費を管理するかです。

Reafが実際に運営した訪問看護ステーションの月別収支を公開しています。
売上・人件費・事業費・営業利益の推移を確認したい方は、以下から資料をご覧ください。

訪問看護ステーションの売上はどう決まるのか

訪問看護ステーションの売上は、基本的に次の要素で決まります。

売上 = 利用者数 × 1人あたりの訪問回数 × 訪問1回あたりの報酬

実際の報酬額は、医療保険と介護保険のどちらを利用するか、訪問時間、訪問人数、各種加算などによって異なります。

そのため、単に利用者数を増やすだけではなく、次の数字を継続的に把握する必要があります。

  • 利用者数
  • 新規利用者数
  • 利用終了者数
  • 1人あたりの月間訪問回数
  • 看護師1人あたりの訪問件数
  • キャンセル件数
  • 加算の算定状況
  • 請求額と実際の入金額

売上の簡易シミュレーション

仮に、訪問1回あたりの平均単価を9,000円、ステーション全体の訪問件数を1日15件、月の稼働日数を20日とすると、月間売上は次のようになります。

9,000円 × 15件 × 20日 = 270万円

1日15件を3人の看護師で担当する場合、看護師1人あたりの訪問件数は1日5件です。

ただし、これは収支構造を理解するための簡易計算です。実際には訪問時間や加算、利用者構成、キャンセル、移動時間などを反映して試算する必要があります。

 

 

訪問看護ステーションの主な経費

訪問看護ステーションでは、売上が増えても、それに合わせて人件費や車両費などが増加します。

特に大きな割合を占めるのが人件費です。

人件費

主な人件費には、次のようなものがあります。

  • 看護師やリハビリ職の給与
  • 管理者の給与
  • 賞与
  • 社会保険料
  • 採用費
  • 研修費

指定訪問看護ステーションでは、看護職員を常勤換算で2.5人以上配置し、そのうち1人は常勤であることなどが定められています。管理者についても配置基準があります。

開業地域や提供するサービスによって確認事項が異なる場合があるため、開業前には必ず自治体や関係機関へ最新の要件を確認してください。

事業所・車両に関する経費

  • 事務所賃料
  • 駐車場代
  • 訪問車両のリース料
  • ガソリン代
  • 車両保険料
  • 車両の維持費

訪問エリアを広げすぎると、移動時間と車両費が増え、看護師1人あたりの訪問件数が低下します。

売上だけではなく「1件の訪問に何分かかっているか」「移動を含めて1日に何件訪問できるか」を確認することが重要です。

その他の経費

  • 電話・インターネットなどの通信費
  • 電子カルテや請求システムの利用料
  • 事務用品費
  • 広告宣伝費
  • 税理士や社会保険労務士などへの報酬
  • 賠償責任保険料
  • 本部ロイヤルティ

開業時には、事務所の契約費用、車両、パソコン、スマートフォン、備品、採用費なども必要になります。

 

訪問看護ステーションの収支モデル

ここでは、月間売上270万円のステーションを想定した簡易的な収支モデルを紹介します。

項目月額
売上2,700,000円
人件費1,500,000円
事務所・車両費300,000円
システム・通信費100,000円
採用・広告・研修費100,000円
その他の経費200,000円
支出合計2,200,000円
営業利益500,000円

この場合の営業利益率は、約18.5%です。

ただし、開業直後からこの売上を確保できるとは限りません。採用した看護師の給与や事務所賃料は、利用者が少ない時期にも発生します。

そのため、開業初期の収支を考える際は、安定期の利益だけではなく「赤字期間をどのように乗り越えるか」を計画しなければなりません。


損益分岐点の計算方法

損益分岐点とは、利益がゼロになる売上高のことです。

簡易的には、次のように考えられます。

損益分岐点となる訪問件数 = 月間経費 ÷ 訪問1回あたりの平均単価

先ほどの収支モデルで、月間経費が220万円、訪問1回あたりの平均単価が9,000円の場合は、次の計算になります。

2,200,000円 ÷ 9,000円 = 約245件

月20日稼働であれば、1日あたり約12.3件です。

3人の看護師が訪問する場合、1人あたり1日約4.1件が損益分岐点の目安となります。

実際の経営では、賞与や採用費、設備更新費なども発生します。月間経費だけでなく、年間で発生する費用も含めて損益分岐点を設定することが大切です。

Reafの1年目はどのように黒字化したのか

Reafの運営実績では、1年目の年間売上は約2,306万円、営業利益は約156万円でした。

ただし、毎月黒字だったわけではありません。

開業当初は利用者が少なく、人件費などの固定費が売上を上回る赤字月が続きました。その後、利用者数と訪問件数が増えることで月間売上が伸び、5か月目に初めて月次黒字へ転換しています。

1年目の月間売上は、開業月の約53万円から、年度末には約304万円まで増加しました。

この実績から分かるのは、開業直後の売上だけで事業の成否を判断してはいけないということです。

利用者数が増えるまでの期間を想定し、赤字期間を支えられる資金を確保しておく必要があります。

黒字化までに必要な運転資金

訪問看護ステーションの開業資金は、一律に「いくらあれば十分」とは言えません。

必要資金は、次の条件によって変わります。

  • 採用人数と給与水準
  • 事務所の初期費用と賃料
  • 車両の購入・リース台数
  • 採用費や紹介手数料
  • 利用者獲得までにかかる期間
  • 経営者自身の役員報酬
  • 借入金の返済額

資金計画を立てる際は、次の計算を基本にすると分かりやすくなります。

必要資金 = 開業時の初期費用 + 月間固定費の6~12か月分 + 予備資金

訪問看護の売上は、サービスを提供した当日に入金されるわけではありません。請求から入金までには一定の時間差があるため、会計上は黒字でも、手元資金が不足する可能性があります。

特に開業初期は、利用者が増える前から給与や賃料の支払いが発生します。売上予測だけではなく、毎月の入金と支払いを記載した資金繰り表を作成しておきましょう。

訪問看護ステーションが赤字になる主な原因

利用者が増える前に採用しすぎる

訪問看護ステーションでは、人件費が大きな固定費になります。

利用者数に対して採用人数が多すぎると、看護師1人あたりの訪問件数が少なくなり、人件費を回収できません。

一方で、利用者が増えてから慌てて採用すると、受け入れを断ることになります。採用時期は、現在の利用者数ではなく、数か月先の紹介見込みまで含めて判断する必要があります。

紹介元との関係構築ができていない

訪問看護ステーションの利用者獲得では、病院、クリニック、相談支援事業所、ケアマネジャーなどとの地域連携が重要です。

単発で営業訪問をするだけでは、安定した紹介にはつながりません。

紹介後の報告、緊急時の対応、利用者の変化などを継続的に共有し、「安心して紹介できるステーション」と認識してもらう必要があります。

訪問エリアが広すぎる

利用者を増やすことを優先し、遠方の依頼を無計画に受け入れると、移動時間が増加します。

看護師が勤務している時間でも、移動中は訪問報酬が発生しません。訪問ルートを整理し、一定の地域に利用者を集めることが収益性の改善につながります。

売上だけを管理している

売上が増えていても、採用費や残業代、車両費などが同じペースで増えていれば利益は残りません。

毎月、少なくとも次の指標を確認しましょう。

  • 売上高
  • 営業利益
  • 営業利益率
  • 人件費率
  • 看護師1人あたりの訪問件数
  • 利用者1人あたりの売上
  • 新規紹介数
  • 利用終了数
  • 手元資金の残高

利益だけを追う経営が危険な理由

訪問看護ステーションの収益性を高めることは、事業を継続するために欠かせません。

しかし、短期的な利益を優先しすぎると、看護師の負担が増え、離職やサービス品質の低下につながります。

また、訪問件数だけを追い、紹介元への報告や利用者との対話が不十分になると、地域からの信頼を失う可能性があります。

訪問看護経営における利益は、利用者への支援を継続し、看護師が安心して働ける環境をつくるためのものです。

Reafでは、次の3つを同時に成立させることを重視しています。

  • 利用者にとって質の高い訪問看護
  • 看護師が長く働ける職場環境
  • 事業を継続できる安定した収益

この3つがそろって初めて、継続的な黒字経営が可能になります。

売上がどのように増え、何年目にどの程度の利益が残ったのか。
Reafが実際に運営したステーションの月別収支を、5年分公開しています。

開業前に確認したい収支チェックリスト

訪問看護ステーションを開業する前に、以下の項目を確認しておきましょう。

  • 月間の固定費を把握している
  • 損益分岐点となる利用者数・訪問件数を計算している
  • 開業から6~12か月分の資金繰り表を作成している
  • 利用者数に応じた採用計画を作成している
  • 採用が予定より遅れた場合の対応を決めている
  • 利用者獲得のための地域連携計画がある
  • 紹介後の報告方法を標準化している
  • 訪問エリアと移動時間を想定している
  • 毎月確認する経営指標を決めている
  • 制度改定や加算要件を確認する体制がある

一つでも判断できない項目がある場合は、開業前に収支シミュレーションを見直すことをおすすめします。

まとめ:訪問看護の黒字化には「利用者獲得・採用・資金繰り」の設計が必要

訪問看護ステーションは、利用者数と訪問件数を安定して確保し、人件費と訪問効率を管理できれば、利益を生み出せる事業です。

一方で、黒字化するためには、単に訪問件数を増やすだけでは不十分です。

  • 利用者が増えるまでの運転資金を確保する
  • 利用者数に合わせて採用時期を判断する
  • 地域の紹介元との信頼関係を構築する
  • 訪問ルートと看護師の稼働を最適化する
  • 売上だけでなく利益と資金残高を管理する

これらを開業前から設計しておく必要があります。

Reafでは、精神科訪問看護ステーションの立ち上げから、採用、教育、地域連携、収支管理までを一貫して支援しています。

まずは実際の数字を確認し、自分が検討している事業計画と比較してみてください。

訪問看護ステーション5年間の収支実績を無料で見る

※本記事に掲載した収支は、Reafが運営した訪問看護ステーションの一事例です。地域、採用条件、利用者構成、制度改定などによって実際の収支は異なり、将来の収益を保証するものではありません。

 

参考資料

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