訪問看護ビジネスは今後も需要が高まる新規事業として注目されています。
多くの事業者が参入している一方で、実は、競争の激しさや運営の難しさからステーションの休止や廃業も増えています。
特に、競合との差別化が難しいという課題があります。
今回は訪問看護ステーションの開業地域と商圏選定のポイントを解説します。
1.訪問看護ステーションの開業地域・商圏の選び方
2.競合との差別化の難しさ
3.訪問看護ステーションの商圏における競争率とは?
4.訪問看護ステーションの開業エリアの選び方とポイント
まとめ
訪問看護ビジネスは高齢化社会や精神疾患患者の増加における需要の高さから、今後ますます注目される事業です。
参入事業者の増加に伴い、競争が激化していると、思う方も多いのではないでしょうか。
また、ステーションを立ち上げる際には、競合が少ないエリアの方がいいのでは?とお考えの人も多いかと思います。
しかし、実際は多くの訪問看護ステーションが開業する一方で、同様に多くのステーションが休止や廃業しているのも少なくありません。
そのため、まだまだ市場的にも訪問看護ステーションの数は足りていないのが現状です。
ただ、訪問看護ステーションを立ち上げる際に、エリア選定は自社のステーションをどういった立ち位置に持っていくか、マーケティング視点で考える時に重要な視点ではあります。
そこで今回は開業時にエリアを検討するポイントとして、どの地域で開業すればいいのか、検討するべきポイントをご紹介します。
最初はどの地域が適しているのか、競争が激しい地域でも成功する方法はあるのか、多くの疑問を耳にします。
しかし、市場調査と地域選定のポイント、自社の立ち位置、を押さえることで、しっかりと差別化することができるはずです。
訪問看護において、競合が多い地域でどのくらいの数の訪問看護ステーションがあるか知っていますか。
例えば、我々が運営している訪問看護ステーションreafのメインで活動している福岡県久留米市では、人口1000人あたり0.28の訪問看護ステーションが存在し、全国的にも競合が多いエリアです。
これを聞いて、競争が激しいとイメージできますか?
ちなみに、人口1万人に対して約3ステーションしかありません。
久留米市の人口は約30万人です。どうでしょうか・・・?
正直あんまり競合が多いというイメージは沸きにくいのではないかと思います。
全国ではこの0.28よりも競争ハードルが高いところはほとんどありません。むしろ、半分もない人口1000人あたり0.14の訪問看護ステーションしかないエリアがほとんどです。
中には大阪など、人口1000人あたり0.36といった競争ハードルの高いエリアもあったりはします。
しかし、そういったエリアでも、我々はまだまだ訪問看護ステーションの数は足りていないと考えています。
例えば、我々がメインで支援している精神科で見てみると、訪問看護ステーションの中でも全体の半分のステーションが算定要件を出していますが、実際に精神科の利用者がいるステーションは3割くらいです。
その中でも精神科に特化しているステーションはその半分くらいと市場を見ています。
仮に1000人あたり0.3の訪問看護ステーションがあったとしても、その中で精神科のステーションを見てみると0.1くらいしかありません。
人口1万人の街に精神に特化しているステーションが1つしかない・・・
と聞くとどうでしょうか。
現在20人に1人が精神疾患者と言われていると考えると、500人の精神疾患者に対して1ステーションとなります。
1ステーションあたり5人の看護師がいても、対応できる利用者は600人程度しか支援ができないです。
つまり久留米市の人口30万人で考えてみるとまだまだステーションの数が足りないのはなんとなく理解ができると思います。
ここまで訪問看護ステーションの現状や競争率について開設してきました。
現状、訪問看護ステーションが足りていないなら開業エリアはどこでもいいのでは?という質問をいただきます。
結論、エリアに関してはどこでもいいです。
ただし、経営や将来性を考えると、抑えておくべきポイントがあります。
というのもエリアの選定よりもその後の経営が訪問看護においては難しいと考えてます。
そこを踏まえると、訪問看護ステーションの開業エリアを選ぶ際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
1. 人口規模
まずは、人口1000人あたりの訪問看護ステーション数を確認し、訪問看護の需要を確認しましょう。
特に、人口が多い地域では、訪問看護の需要が高いです。
その一方で、競合との差別化が難しくなるため、より経営に関しては事前の計画や戦略立てが必要となってきます。
2. 既存の訪問看護ステーションの数
次にみるポイントは、検討エリアの既存の訪問看護ステーションの数です。
ここをみると新規で獲得できる利用者の数がなんとなく把握できるため、売上規模感などの予想を立てることができます。
3. 競合のサービス内容
既存の訪問看護ステーションが提供しているサービスを調査し、自分たちがどのように差別化できるかを明確にしましょう。
例えば、精神科に特化しているステーションがどのくらいいるのか。経営母体は大手なのか中小なのか。そういった観点でも戦略が立てられるので、調べてみるといいでしょう。
4. 地域の特性
地域の特性やニーズに応じたサービスを提供すること検討しているステーションもあるかと思います。
グループホームなどの福祉施設と連携して立ち上げたい、クリニックの開業と一緒に訪問看護も検討している
といった自社のサービスと地域との特性がマッチングしていればより事業が加速するのではないでしょうか。
他にも、高齢者が多い地域では、介護やリハビリに特化したサービスを提供することで、顧客に選ばれる可能性が高まります。
ここまで、訪問看護事業においてのエリア選定について開設してきました。
現状訪問看護ステーションの需要はまだまだあるため、特別どのエリアがで開設した方がいいというのは特に考えなくてもいいかと思います。
ただ、開設後の運営や採用など大きい観点から見ると、自分の根付いている地域や協力してくれる人が多い地域の方がいいのではないでしょうか。
また、他のステーションとの差別化や戦略を立てることは、今後の運営においてもやりやすくなると思いますので、地域選定や市場調査を十分に行うことは重要です。
既存の訪問看護ステーションが提供しているサービスを調査し、自分たちがどのように差別化できるかを明確にしましょう。
その上で、地域の特性やニーズに応じたサービスを提供するなどの戦略を立てるといいと思います。
訪問看護ステーションの開業においては、その後の運営も見越したエリア選定を行ってください。